ねずみ音頭

40センチ四方の木箱に乗って旅に出ることに決めた。


ゆっくりと線路の上を走る木箱は町中の人たちには
どうやら違和感が無いようで、皆普通に傍を歩いている。


木箱の走る線路は白いねずみで出来ていて、
進むたび、ねずみが「うげっ」と言ってつぶれていく。
後ろを振り返るとつぶれたねずみたちが
車輪の形にへこんだまま、柔和な顔をしている。
耳を澄ますとねずみたちは何か会話を交わしていた。


つぶされることに甘んじているねずみたちに何と言っていいのか、
つぶしながら考えながら、うげうげの音頭と共に旅は続く。