内臓の見た夢

バケモノ来襲。
寺と寺を繋ぐ地下道に我々は一旦避難した。


地下道の向こうから「ギャー!」と叫び声がして、
キョロキョロと辺りを見回す人が見えた。
そして「今だ」とばかりに数人が担架を担いで通りすぎた。


「あれは一体?」と近くにいた人に聞いた。
「自動更新を待ちきれずに誰かの内臓を食べてしまったのよ」
「???」


説明してくれた内容はこうだった。


世界がバケモノに支配されたたため、危機感を感じた人間は本来持つ機能を復活させた。
それは「自動更新」と言って、ある日突然体が勝手に誰かの内臓を食べだす。
数ヶ月に一度それがやってくるまで何も飲食してはいけない。
もし我慢しきれず自分の意志で他人の内臓をえぐった者は
自分の内臓がブルーベリージャムに変化し、死を迎える。


私はまだ自動更新を一度も迎えたことがない。
だからそこらに落ちている物がただの石や靴に見えるけれど、
それは実は全て内臓なのだと言う。


説明を終えた人は咳き込み出し、目をカッと見開いて突然、
私の腹を破って内臓をえぐった。
私の内臓はブルーベリージャムだった。


誰かの内臓を食べた覚えなんてないのに、
いつのまにブルーベリージャムになっていたのだろう。


もしかしたら生まれつきブルーベリージャムだったのかもしれない。
それだったら誰かに食べられてもおかしくないのかなぁと、
えぐられ続けるブルーベリージャムを見ていた。