誰だってうどん屋
家の中に灰色と茶色の石が波をイメージして敷き詰められていた。
すっかり忘れていたが、ここにうどん屋は確実にいる。
早くうどん屋を隠さねば、と焦りだす。
だがどうにも見つからない。
すると突然、本棚の横に座っていた人が「実は私うどん屋でね・・・」
と照れ笑いを浮かべながらカミングアウトし始めた。
「そうだった。この人がうどん屋だった」とわかったけれど
このうどん屋をどのうどん屋から隠せば良いのかわからない。
うどん屋の好意だけが浮かんでいる。
うどん屋に対して罪悪感が募る。
どのうどん屋の好意なのか、どのうどん屋に対する好意なのか
どのうどん屋に対する罪悪感なのか。
うどん屋以外の人のことを思い浮かべてみた。
もうあんまり思い出せなかった。