踊る方の踊り

旅館のテーブルの上にくちゃくちゃに丸められた新聞紙が置いてあった。
そーっと近づいていくとカサカサと中から音が聞こえる。


恐る恐る新聞紙を開くと、中から「24」という文字と
灰色が逃げ出そうとしていた。
「24」はもうほとんど抜けていたけれど、
灰色はからまって抜け出すのに苦戦していた。


「24」と灰色を失った新聞紙は明日の朝には捨てられるだろう。
新聞紙は何かを無くしたら捨てられる運命なのだ。