形態記憶の現在

背中が溶けて形が歪んでしまった。
背負っていた犬もいつの間にか逃げていた。


溶けて地面に馴染んだかつて背中だったそれはほんの少しでも
背中を構成する大事な要素だったのに。


元の背中にはもう戻れないとしたら、背中を切り離すしかないのか。


切り離した不完全な身体でのろのろと歩くのは
それが現代とでもいうような、カッパの世界。